久米彩花
彩花ちゃんは静岡県出身で現在APUの4年生。(2020年撮影当時)学業以外にも慈善活動、プロデューサー、ライター、モデルなど精力的に活動している。今回は「BEPPU ROMAN」という架空のキャンペーンモデルになってもらい、鉄輪温泉にある「かんなわ ゆの香」で撮影しました。
Writer & Photographer : 東京神父

まずは簡単な生い立ちと別府に来たきっかけを教えてください。
彩花:静岡で生まれ育って、小さい頃にTVでフィリピンのゴミ山の生活を知って、ずっと国際協力や発展途上国の暮らしを変えていくということに興味がありました。
別府に来るきっかけはAPUへの入学ですね。そういう観点から大学進学を考えた時にAPUが一番理想に近かったので。環境問題とビジネス、その両方を学べるので持続的な支援をより具体的に考えられるんじゃないかと思ったことと、途上国からの学生も多いので、生の声や考えを聞きながら学ぶことが出来るのは魅力的だなと思ってAPUを選びました。

僕が面接官だったら採用したくなる答えですね(笑)今4年生ってことは来年の春卒業ですよね。実際にAPUで学んでみてどうですか?
彩花:学んだことももちろんそうなんですが、ああいう環境に魅力を感じて来るちょっと変人で、刺激をくれるAPU生に出会えたことは間違い無く今後の人生の大きな財産になると思っています。みんな芯があって、努力したり、挑戦したりする人が多いので。その繋がりを今後も大事にしていきたいなと思っています。

カテゴライズしないで「一緒に面白いことしようよ」っていうパワーがあるところが凄く素敵
今まで何人も撮影してますが、APUの子は優秀な子が多い印象です。
彩花:社会に出てお互い成長したのちに再会したら、また新たな化学反応が起きそうな予感がします。
別府の人や街についてはどうですか?
彩花:一年生の頃はAPUの中のコミュニティーにしか参加していなかったので、別府という街にはあまり興味がなかったです。でも、下界(APUの学生は校舎が高台にあるため、別府の市街地のことを下界と呼ぶ)に住むようになってからは別府の人と触れ合う機会も多くなりました。
色んな人が自分らしくいられる寛容さだったり、変わった人でも毛嫌いせずに繋がりますよね。カテゴライズしないで「一緒に面白いことしようよ」っていうパワーがあるところが凄く素敵だと思います。街は言わずもがな、自然が溢れていて美しいですよね。

別府は「人の名前が浮かんでくる」
最近APUのイ先生を撮影した時にも話したことなんですけど、別府はもう大分県別府市ではなくて、別府国という一つの国ですよねと。100か国以上の国の人がこれだけコンパクトな街に住んで、独特な文化が混ざり合って、無理に共感するわけじゃなく共存している。その多様性が許されるのはもう国ですよね、という話になりました。
彩花:国っていう意味でいうと、別府は一人一人が大事にされてて、役目を持って街に存在している感じがします。東京とかだとその人がいてもいなくても街としては変わらないし、大事にされない感じがするんですよね。
別府だと例えばお店をやろうって思った時に、土地については誰が詳しくて、歴史については誰が詳しくて、お酒だったらこの人で、っていう感じで別府は「人の名前が浮かんでくる」と思うんですよ。
ハブになったり、キーになったりする人は多いですよね。飲食店の話が出たから聞きたいんですが、彩花ちゃんがやっていた「Trash Kitchen」というのはどういう経緯で始めたの?
彩花:「Trash Kitchen」は食品ロスになってしまう食べられるのに捨てられてしまう食材を私たちが回収して、レストランで調理をして料理を振る舞うという試みで、2019年10月から2020年1月までの期間限定でホテルニューツルタさんの1階をお借りしてお店をオープンしていました。

環境や社会問題っていう意味でもそうですし、サステナブルな仕組みを作るっていう意味でも一つの挑戦ですよね。
彩花:日本は特にフードロスが多い国で賞味期限が厳しかったり、見た目の規格が厳しかったり、世界的に見ても食べ物を無駄にしている国なんです。私は半年くらいイギリスとドイツに留学していたんですが、ヨーロッパでは食品ロスになる食材だけを集めたスーパーマーケットやレストランが普通にあるんですよね。
いびつな形の野菜もそれを「個性」として楽しんでいて。問題意識だけじゃなくて、実際にそれを楽しめる環境だったりを作ることも大切なことなのかなと思って、まずはAPU生が中心となって一つの形を作ってみようと始めたプロジェクトでした。

実際にレストランという形にして、料理を提供する所までやってみてどうでしたか?
彩花:お客様からは「これがフードロスで作ったものとは思えない。美味しいじゃん」という意見を沢山もらいました。伝えたかったことが少しは体現出来たのかなと思ってます。
別府の地元の方の協力があったからこそ実現できましたし、その地域の問題を地域の人達で解決していくということが別府なら実現出来ると感じました。あとは食材が料理になっていく過程を見せられたらもっと良かったかもしれません。

本当に密度が濃い街だと思います
縁が繋がる別府ならではの環境作りがもっと出来るかもしれないですよね。他に別府ならではだなと思ったことなどありますか?
彩花:神父さんと初めてお会いした「竹瓦小路アーケード」の音楽イベントですかね。それまでは別府の方が主催したイベントに参加したことがなくて、全く知らない人ばかりだったんですが、皆さん本当にフレンドリーで。一回のイベントでこれだけ仲間や友達が増えることって今までなかったんですよね。それが別府ならではなのかなと思いました。

たしかにそうですね。イベントもそうですが、例えばバーのカウンターに座ってるお客さんが帰る頃にはみんな仲良くなってる、なんてことが別府ではよくあることです。要はそういうところに「足を運ぶ」かどうかですよね。
彩花:そう考えると別府は「足を運ぶ」場所が沢山ありますよね。温泉、音楽、食、お酒。全く違うことをしていても、同じ趣味で老若男女が楽しめるし、会話出来る。
例えば音楽イベントにしても普通は集まる世代は同じになりがちですよね。それが別府だとお爺ちゃんから子供までフラットに同じ空間で楽しむことが出来る。本当に密度が濃い街だと思います。

イベントっていうよりも、感覚は「お祭り」に近いのかもしれないですね。
彩花:偏ってないのがいいですよね。一時期「海門寺温泉」の近くに住んでいて毎日行ってたんですけど、常連のお婆ちゃんと仲良くなったりして。70代の方とかと普通に仲良くなるってなかなかないですからね。

温泉はそういう意味でいうと一番フラットかもしれないですよね。ふらっと行けるし(笑)良く行く温泉は海門寺温泉ですか?
彩花:(笑)回数券買って行ってましたね。日常的に温泉に行くっていうのは別府じゃないとあり得ないですよね。
別府以外の人にとっては特別なことが当たり前で、でも当たり前なことが実は特別なんだってことを温泉が教えてくれますよね。海門寺以外でどこか好きな温泉はありますか?
彩花:好きな温泉は「夢たまて筥」です。首だけ出すむし湯があるじゃないですか。なんだか温泉卵になった気分になれるので好きです。静岡も熱海とか伊豆とか温泉地は多いですけど、別府みたいにバリエーションはないですね。

今日は鉄輪温泉で撮影しましたがどうでしたか?
彩花:凄い数の温泉がありますよね。一つ一つ鉄輪だけでも違う温泉があって楽しいですよね。造りとか、色とか、日の光とか時間帯によっても全然違う表情になるのが素敵ですよね。温泉で撮影ってしたことなかったので、自分的にはチャレンジングな撮影でした(笑)

タオルがズレる度にカメラマンが後ろを向くって撮影もなかなかないですよね(笑)
彩花:そうですね(笑)ゆの香さんのお風呂も昭和ロマンな独特な雰囲気があって、お湯もなめらかでとっても素敵でした。

今日はありがとうございます。最後にこれから別府に来る人へメッセージをお願いします。
彩花:人と文化と食と温泉が別府の魅力だと思ってますが、来るなら2週間くらい来て欲しいですね。3日間くらい観光だけして帰るのはあまりにも勿体ないと思います。一ヶ月くらい別府にいると別府マインドになって来るので、是非それを体験して欲しいです。













MODEL PROFILE
名前:久米彩花(Ayaka Kume)
年齢:23歳
出身:静岡
職業:学生(APU)
CREDIT
タイトル:BEPPU ROMAN
撮影日:2020年10月18日
写真撮影&インタビュー:東京神父
撮影協力:かんなわ ゆの香、別府市、別府市温泉課、葛城さや香さん、Trash Kitchen
※温泉や個人の情報は全て撮影当時のものです。
ONSEN INFO

かんなわ ゆの香
鉄輪温泉で50年に渡り「温泉旅館 楽々園」の名で温泉旅館を営む。現在も残る旧館は昭和50年代に建てられた棟。湯治宿の雰囲気と昭和の香りを感じることが出来る。女将は「温泉名人」「温泉マイスター」「温泉ソムリエ」の資格を持っている。「かぼす」「ゆず」「ざぼん」「レモン」という4匹の看板猫にも会えるかも。
住所:大分県別府市鉄輪御幸4組
営業時間:13:00〜21:00
(※2021年現在、立寄り湯は休止中。
状況は宿に直接お尋ねください)
入浴料金:大浴場:大人500円、子供250円
家族湯(壷風呂+内風呂):1,800円
レトロ風呂:1,500円
泉質:塩化物泉
地図:湯巡りマップ
公式HP:別府八湯温泉道サイト/かんなわ ゆの香